風景撮影で知っておくべき用語「白飛び」。基礎知識から対策までカメラ初心者向けに徹底解説。
この記事では、向上心あふれる初心者に、ぜひとも知っておいてほしい「白飛び」について解説します。
これを知っているのと知らないのでは、写真の上達速度に大きな差が出ます。特に風景を撮影する方には、必須の基礎知識です。
この記事を読むことで、確実に知識を身につけ、実践し、上達を目指しましょう。
風景撮影で知っておくべき用語「白飛び」。基礎知識から対策までカメラ初心者向けに徹底解説。
「風景写真を撮るカメラ初心者に、できるだけ早い段階で知っておいてほしい」
そんな思いから、この記事を作成しました。
なぜなら、僕自身が初心者時代に「白飛び」を知らずに風景写真を撮り続け、失敗写真を量産してきたからです。
それではさっそく、本題に入りましょう。
「白飛び」とはなにか?
白飛びとは、「明るくなりすぎて真っ白になった状態」のことを言います。
上の写真を見ていただくと一目瞭然です。明るすぎて真っ白です。
ここまで真っ白になると、この部分は色の情報が残っていません。あとから編集することもできない状態です。
これは実際に僕が写真を始めて間もない頃に撮った写真です。当時、僕はこの写真を「もうすぐチューリップが咲きそう。春だなぁ。」と感じながら撮りました。
「つぼみが春直前を表現していて、緑も爽やかだよね。うん、いい写真。」ぐらいに思っていたことを、なんとなく覚えています。
でも今見ると完全にボツ写真です。緑の爽やかさを見せたいなら、もっと明るさを抑えつつ彩度やコントラストを調整するし、何より白飛びしています。
初心者の頃は、「白飛びは良い写真ではない」ということにすら気付かないのです。
ある程度写真をやっている人からすると、「白飛びはNG」という共通認識があります。しかし、なぜNGなのかという理由まであまり説明されていないので、ここでしっかりとお伝えしておきます。
人間の視線は、「明るい部分に誘導される」という性質があります。白飛びしていると、そちらに視線が引っ張られます。見せたいはずの主役をしっかりと見せられないことになります。
写真を「表現」と考えると、自分の意図とはかけ離れた表現をしていることになります。実際、チューリップの写真は僕の意図に反して、一瞬つぼみに目が行くものの、真っ白い空へと抜けていきますよね。
白飛びさせずにギリギリ、色調を残すことで、グラデーションを表現したり、画面の中に視線をとどめることができるのです。
ですから、初心者時代からしっかりと「白飛び」を意識して撮影ができていると、間違いなく上達が早くなります。
これも初心者時代の僕の写真ですが、雲の一番明るい部分が白飛びしています。やはりここに目がいってしまいますよね。
雪原の曲線が美しくて、そこを見てほしいのに・・・。
やはり表現できていませんよね。特に空や雲が白飛びしやすいので、意識しましょう。
ということで、具体的な対策をお話ししていきますね。
白飛び対策の紹介
白飛び対策は、いろいろあります。
一通りご紹介しますので、使うかどうかは別として、基礎知識として覚えておいてください。
補正をかける
写真編集ソフトで補正をかけるという方法があります。Lightroom(ライトルーム)というソフトが有名です。
一見、白飛びしてそうな写真ですが・・・
色の情報がデータとして残っていれば、このように補正することが可能です。
通常、完全に白飛びすると、色の情報が残っていないので補正不可能ですが、白飛びのの程度にもよっては補正が効きます。
RAWで撮影しておくことでこのようなこともできますが、僕はあまりこの方法をおすすめしません。
「あとから補正でなんとかなる」という考え方だと、写真が上手くならないからです。あえてこれを最初にご紹介しました。補正に頼るのは最小限にして、次から紹介する白飛び対策を確実に実践しましょう。
ヒストグラムを見る
「そもそも白飛びさせずに撮る。」これが一番大事だと考えます。
ライブビューでヒストグラムを確認してから撮影すれば、それは可能です。
ヒストグラムの見方は次の通りです。
上の図で言うと、一番下の「明るい成分が多い」が白飛びの状態です。
ヒストブラムの山が「右の壁に張り付いている状態」を避けましょう。ここまで右に寄ると、編集ソフトでも補正が難しいです。
これぐらいだと、しっかり色の情報が残っています。ちなみに左の山は暗い部分のグラフです。明暗が激しいので山が2つになっています。
暗い部分を写さないとこうなります。
ちなみに「白飛び」とは逆の状態を「黒つぶれ」と言いますが、今回はそこには触れません。またの機会にお話しします。
ということで、この「ヒストグラム」こそが最も重要だと断言してしまいます。僕は、少しでも白飛びの可能性がある状況では必ず確認しています。
実際のところ、「白飛びしてないだろう」と思って撮影した写真が、あとから見ると白飛びしていたということがよくあります。
ヒストグラムを確認して撮影するのが、一番間違いない方法です^^
カメラの階調補正機能を設定する
これは、自動で白飛びを緩和してくれる素晴らしい機能です。
使わない手はありません。風景写真をやる方は設定しておきましょう。
ちなみに、この機能を設定すると、ISOの下に「D+」と表示され、最低ISO感度が200になります。
それでも設定することをおすすめします。プロの風景写真家でも設定している方が多いです。
メーカーによって名称が違います。
- キヤノン:高輝度側・階調優先
- ニコン:アクティブD-ライティング
- ソニー:Dレンジオプティマイザー
ハイライト警告を表示する
撮影したときに、白飛びした部分を点滅して教えてくれる機能です。
白飛びがわかれば、露出を下げてもう一度撮り直せばOK。これもとても便利な機能です。活用しない理由はありませんね。
僕も慣れるまではずっと使用していました。
これもメーカーごとに名称が違います^^;
- キヤノン:ハイライト警告表示
- ニコン:ハイライト表示
- ソニー:ゼブラ表示機能
以上が、僕が推奨する白飛び対策です。
「階調補正機能」と「ハイライト警告」という便利なカメラの機能を設定し、ヒストグラムを見て撮影する。
これで白飛びは確実に予防できます。これをやるかやらないかで、かなり写真のクオリティーが変わってきます。
ここまで読んだ方は、必ずやりましょう。
意図的に白飛びさせるのはOK
最後にひとつだけ。「白飛びは悪だ」みたいに聞こえたかもしれませんが、意図的に白飛びさせるのは、全然OKだと思っています。
写真は表現です。白飛びが写真表現に必要なら、むしろ積極的に使いましょう。もちろん僕も使います。
これらの写真は、白飛びしています。
でも、まぶしいぐらい真っ白に光り輝く白銀の世界と、そこに佇む一本の木や、命輝くエゾリスをシンプルに表現したかったので、意図的に白飛びさせています。
白飛びは意図的に使うと必殺技になりますよ^^
tomokiの体験談
テーマにまつわる僕の体験談をお話しするこのコーナー。もちろん「白飛び」ですね。
冒頭でも触れましたが、僕は初心者の頃、「白飛び」という写真用語を知りませんでした。しばらく知らないまま撮影していたことにショックを受けた記憶があります。
知ったあとで自分の写真を見返してみると、めちゃくちゃ白飛びが多かったです。
この写真は「霧氷と青空がいい感じだ」と思っていましたが、しっかりと白飛びが炸裂しています。笑
「雲の躍動感をダイナミックに表現してやったぜ!」と言いたげな写真ですが、少し白飛びしていますね^^;
どちらもわずかな白飛びですが、今、客観的に見ても、やっぱり基礎を身につけていない未熟な写真だなぁと感じます。
この2枚の白飛び写真を見て、「そんなことないんじゃない?」と思う方もいるかもしれませんが、やはり白飛びを意識できるようになってくると、写真は変わります。
微妙な空や雲の質感を表現できるようになってきます。
確実に上達していけることは間違いありませんので、今回の内容は余すところなく実践してほしいですね^^
まとめ
白飛びまとめ
- 「明るくなりすぎて真っ白になった状態」が白飛びである
- 白飛び部分に人間の視線は誘導される
- ヒストグラムを見て撮影しよう
- 階調補正機能を設定しよう
- ハイライト警告を表示させよう
- 意図的に白飛びさせるのは全然OK!
いかがでしょうか?
今回の記事を読むことで、知らなかった知識が得られ、写真上達に貢献できたかと思います。
写真用語やカメラ用語は、知らないだけで損していることがたくさんあります。ひとつひとつ覚えて、確実に上達していきましょう。
では、また(´∀`)ノ