写真のセンスは生まれつきなのか?上手く見える写真には理由がある。
- 自分にはセンスがないから写真をあきらめるべきなのか?
- でもセンスって磨けたりする?
- 写真のセンスがいい人って何か特徴があるの?
そんな疑問やお悩みを解決する記事です。
センスに関心がある人は、
「写真の上達にはセンスが必要」と思っているからですよね。
いきなりちゃぶ台をひっくり返すようで恐縮ですが、
結論、写真にセンスは不要です。
上手く見える写真にはなんらかの理由があります。
センスという感覚的なものでなく、
ロジカルに説明できてしまいます。
上手い写真の理由がわからない人にとっては、
「センスがいいから上手いんだ」
「生まれつきのさだめか・・」
と映る。それだけの話です。
本記事を最後まで読めば、
どんな写真がいい写真に見えるのか?
という謎がわかりますので、
ぜひ自分の写真にも生かし、素敵な写真をたくさん撮ってください。
【北海道美瑛町のフォトグラファー】 地元をこよなく愛するフォトグラファー。北海道美瑛富良野をメインフィールドに、年間250日以上、自然風景を撮影している美瑛町民です。この鬼撮影で得た体験や上達方法をブログで発信しています。 インスタグラムはこちら→tomoki_biei
ツイッターはこちら→@tomoki_biei
センスとは何か?
センスは、英語で感度や五感の意味。転じて、美的感覚や感性のこと。才能と似た意味である。(参照:Wikipedia)
- 感覚
- 感性
- 才能
概ねこのようなイメージの「センス」というものが写真にとって大事である。
そんな共通認識が多くの人にあるように感じます。
「自分にセンスがあるのかないのか?」「センスがいい人の特徴は?」とセンスを気にする人の深層心理は、「センスを身につけて自分も上手くなりたい!」ですよね。
写真が上手くなるのに「感覚・感性・才能(いわゆるセンス)」は必要ないと思います。
だから今日からセンスは気にしなくて良いです。
その理由を具体的に解説していきます。
写真にセンスは必要ない
あなたは、自分が撮った写真を説明できますか?
- なにをどう見せたい?
- なぜその構図?
- なぜそのレタッチ?
「自分はセンスがないから写真が下手だ」と思っていてその理由がわからない人は、これらを説明できないはず。
なぜなら写真には、
- 「上手く見える理由」
- 「上手く見えない理由」
があることを、知らないからです。
それは、写真の基礎をしっかり学んでいないことを意味します。
この記事の結論としては、
写真にセンスは必要ない。基礎をしっかり学ぼう。
これです。これが上達の鍵です。
「センスがいい」と言われる人の正体は、「基礎が身についている人」だからです。
ここが腑に落ちた人は成長も早いですよ。
地に足をつけてコツコツ取り組めるようになりますので。
基礎については、「基礎基本の反復が写真が上手くなるための王道だ」という記事をご覧ください。
それでは、作例を使って解説していきます。
センス不要の写真解説
実際に僕が撮影した写真を見ながら、なぜそう撮ったかを解説していきます。
まずはわかりやすい写真からいってみましょう。
作例1 背景ボケのラベンダー
いわゆる「背景ボケ」の写真です。もちろんボケさせずに後ろのラベンダーも含めて全てにピントを合わせることもできます。なぜこう撮ったかというと、この写真の主役を真ん中のラベンダーに設定したからです。
主役を見せるために他を見せないというシンプルな手法です。背景に何もないので、必然的にピントが合っている部分に視線がいきます。これはすごくわかりやすいですよね。あと「日の丸構図」です。
センスがいいと言われる人は、常にこういう要素をたくさん組み合わせて撮影しています。これが人の目に「美しい」「いい写真」「心地よい」と映ることを知っているからです。
- ボケ撮影の基礎
- 見せ方の基礎
- 構図の基礎
作例2 畑と林
続いてこちら。この写真も意図を持って撮っています。
そこはひとまず置いておき、なぜこの写真がいい写真に見えるのか?という視点でぜひ考えてみてください。手前味噌ですがいい写真という前提で話していて申し訳有りません・・^^;
畑と林の境目のラインが印象的で、これを構図に入れています。いわゆる「斜線構図」です。斜線構図は、斜線の数が多いほど効果が強く出ます。
畑にもたくさんの斜線が入っていますよね。これは、斜線でありながら、たくさんの斜線を反復する「パターン構図」でもあります。美瑛町の畑はこれらの構図が作りやすいので、印象的な写真になりやすいのです。
そして、畑の茶色と林の緑が見事に対比しています。「対比構図」です。この写真には構図が3つ入っているんですね。
さらに、もうひとつポイントがありますがわかりますか?
「畑と林以外の被写体を入れていない」です。
空も入れないし、隣の畑との境界も入れていません。できるだけ要素を少なくして視線を他に持っていかれないようにしています。
このように、意図を持って撮影すると、自分の写真を説明することができます。あなたの写真はいかがでしょうか?
そもそも「斜線構図」「パターン構図」「対比構図」を理解していましたか?これが基礎です(この場合構図の基礎)。知らない人から見ればセンスで撮っているように見えるかもしれませんが、他の人よりもはるかに基礎ができているというだけなんです。
実際は、ファインダーを覗きながら「斜線構図とパターン構図と対比構図を入れて・・・」なんてことを考えてはいません。笑
構図や光や背景など、写真の基礎を体得できているので、自動的に、感覚的にこの写真にたどり着きます。無意識に体が反応するプロスポーツ選手のように。彼らが日々、練習に励むように、写真もそれが必要だと思っています。
「自動的・感覚的にこの写真にたどり着く」というのがセンスに映るのでしょう。だとしたらセンスは磨けるということです。そしてその大元にあるのはやはり基礎です。
- 構図の基礎
作例3 日の出と丘の風景
この写真も基礎力が身についていれば説明できます。
いかがでしょうか?
「センスですね。」
という回答は無しですよ笑
これは、画面内に近景と遠景を入れて、超広角レンズで撮影しています。
近景と遠景を入れることで、遠近感が引き立ち、ダイナミックな写真になります。さらに超広角レンズを使うことで、より遠近感を強調させています(パースペクティブ効果と言います)。
広角レンズの基礎知識はこの記事で学べます▼
さらに、先ほども出てきたパターン構図。フランス菊が画面内にたくさん配置されていて、パターン構図を形成しています。
もうひとつ、コントラストです。明暗差ですね。全体的に暗い写真の中に、真っ白な花があることで存在を引き立てます。これらの要素が画面に入ることで、この写真は人間の目に「いい写真だね」と映ります。
これらの写真も明暗差を意識していますが、それがよくわかるかと思います。
意識してと言いましたが、基礎が身についているとほとんど自動的にこの構図と表現にたどり着きます。
- 広角レンズの基礎
- 構図の基礎
- 調和の基礎
作例4 青空と美瑛の丘
これも考えてみてください。
いかがでしょう?実はこれは、僕の中では「いい写真」ではありません。被写体自体がとても魅力的なのでいい写真に見えるかもしれませんが、初心者時代に撮った少し物足りない写真です。
次の写真と比較するとわかりやすいと思います。
空が違います。上の写真は美瑛町で有名なフォトスポットなので、被写体自体はとても良いのですが、空が単調なんです。
下の写真は動きのある雲が存在感を出していて、いい写真になりました。というか、この雲が出ていたのでここで撮影しました。雲がなかったら撮っていませんでした。あと三分割構図ですね。山のラインを合わせています。
単調な空の場合は空が写る面積を減らすなど、工夫が必要なことも多々あります。
- 調和の基礎
- 構図の基礎
もしあなたが、
- 「写真が上手くならない」
- 「センスがないからだ」
- 「上手くなりたいけど、どうしたらいいかわからない」
と思っているなら、ここに大きなヒントがあると思います。
今回ご紹介した作例は、要素を分解すれば基礎の組み合わせです。
この一つ一つの基礎力のレベルが異常に高い人たちがプロの方々です(もちろん全員ではないと思います)。
写真はいかに基礎が重要か理解できたのではないかと思います。
気づいた方は、愚直に基礎を身に付けていきましょう。
写真の基礎を勉強するための方法をご提案
気付きがあったところで具体的に何をしていくかという話ですが、基本的には、このブログ内で学べるように設計しています。
tomokiの体験談「昔はセンスが大事と思っていた」
テーマにまつわる僕の体験談をお話しするのがこのコーナーです。今回は、「写真のセンス」です。
今でこそ「写真にセンスは不要ですよ」と言っちゃってますが、初心者時代は全然上達せず停滞していた時期が長かったので、「自分はセンスないなー」と悩んでいました。
基本的に自分がなぜ上手くならないのか?何をすれば上手くなるのか?がわからないんですよね。だから「センス」という言葉で片付けてしまう。
昔の人は、わからないことは「呪い」や「たたり」と考えていたように、僕は「センス」という言葉を使っていた気がします。笑
でもわかってしまえば「センス」ではなく基礎力なんです。
僕が徹底的に基礎力を磨き、ぐんぐんと能力が高まってきたとき、あることに絶望しました。
基礎力がついてくるほどに、プロのレベルの高さに気づくのです。今のところ、基礎基本をおろそかにしている一流の写真家を見たことがないので、確信しています。
僕自身は、14構図全てを自分のものにしたときに基礎の大切さを実感しました。基礎の反復とか本当に面倒で地道ですが、これこそが成長の王道です。
コツコツがんばりましょう。
僕が尊敬する宮崎駿大先生の名言を、書かせていただきます。
「ああ、面倒くさい。面倒くせえぞ。」
「面倒くさいなあ。まことに面倒くさいよね。」
「面倒くさいっていう気持ちとの戦いなんだよ。」
「何が面倒くさいって、究極に面倒くさいよね。」
映画を作りながら、「面倒くさい」のオンパレード。でも、最後に言った一言がこれ。
「大事なことは、たいてい面倒くさい。」
by 宮崎駿
こうやって、ジブリ映画という圧倒的名作は作られています。写真という芸術作品も、ジブリ作品のように手間を惜しまず作っていきましょう^^
写真って、いちいち面倒くさいけど。笑
「写真のセンスは生まれつきなのか?」まとめ
- 写真にセンスは不要
- 写真には「上手く見える理由」「上手く見えない理由」がある
- 基礎力を磨くことが上達の王道
- プロは圧倒的に基礎力が高い
- 「大事なことは、たいてい面倒くさい。」
センスではなく基礎が大事。
今日からコツコツ基礎力を積み上げて、確実に上達しましょう。
では、また(´∀`)ノ
北海道のフォトグラファーtomoki()でした。 tomoki_biei